企業アカウントのSNS運用において、「ユーザーとの距離感」は永遠のテーマです。
親近感を求めすぎれば炎上リスクが高まり、安全策を取りすぎれば無機質な情報発信になってしまいます。
ここでは、企業がファン化を促進しつつ、リスクを回避するために意識すべき「一歩踏み込みすぎない」コミュニケーションの極意を解説します。
SNSにおける「距離感」の重要性

企業SNSの最大の強みは、「中の人」の存在を感じさせ、ユーザーと直接交流できる点にあります。この「人間味」こそが、単なる広告では得られないエンゲージメントやロイヤリティを生み出します。
しかし、その距離が近くなりすぎると、「公私混同」や「無神経な発言」と受け取られ一瞬で企業イメージを損なう炎上リスクに直結します。
私たちが常に意識すべきは、「個人アカウントではない」という境界線です。
炎上を防ぐための「3つの境界線」

ユーザーと適切な距離感を保つためには、次の3つの境界線を厳格に守る必要があります。
コンテンツの境界線
「デリケートな話題」への立入禁止
企業アカウントは、極めてデリケートな話題に言及することで、一瞬にして広範囲のユーザーの反感を買うリスクがあります。
避けるべきテーマの例
- 政治・宗教
意見が二分されやすいテーマ。いかなる立場も取らない。 - 災害・事故
軽率な発言やユーモアの対象としない。 - 差別的な表現
倫理観やコンプライアンス(Compliance:法令遵守)に反する表現は厳禁。 - 他社・他者への言及
競合他社や特定の個人を揶揄する発言はプロとして絶対に行わない。
コミュニケーションの境界線
「馴れ合い」の回避
親近感を出すために、ユーザーのコメントに対し、「友達感覚」で返信してしまうのは危険です。
返信・DM(ダイレクトメッセージ)で守るべきルール
- 敬語を基本とする
親しみやすさがあっても、「カスタマーサポート」としての丁寧な言葉遣いを徹底する。 - プライベートに踏み込まない
ユーザーの個人情報や私生活に関わる質問はしない。 - DMは「非公開の公式記録」と認識する
スクリーンショットで拡散されるリスクを常に意識し、誰に見られても問題ない内容に留める。
スピードの境界線
「即時性」への過度な依存を断つ
SNSはリアルタイムな情報発信が魅力ですが、その「即時性」が炎上の原因になることが多々あります。
投稿前の「冷却期間」を持つ
- ダブルチェック体制
担当者だけでなく、必ず複数人で投稿内容を確認するプロセス(ダブルチェック)を経る。 - 感情的な投稿の回避
ユーザーの批判コメントに感情的に反論する「二次炎上」を防ぐため、批判には即座ではなく、冷静に事実確認を行った上で公式見解を示す。
「一歩手前の親近感」の作り方

適切な距離感を保ちながらも、ユーザーに愛されるアカウントを作るには、「企業の専門性」を軸に据えることが重要です。
- 専門性をかみ砕いて解説する
「この会社は信頼できる」 → 権威性の獲得 - ユーザーの質問に丁寧に応える
「ちゃんと見てくれている」 → 顧客体験(CX)の向上 - 製造工程など「裏側」を公開する
「親近感が湧く」「透明性が高い」 → 共感性の獲得
| 意図的に作る距離感 |
| ・ 知識の提供に徹し、個人の意見は控える。 |
| ・ 返信内容が「公式な回答」であることを意識する。 |
| ・ 現場の「リアル」は出すが、個人の顔や私生活は出さない。 |
プロフェッショナルとしてのスタンスを崩さず、「ユーザーの役に立つ」という価値提供を徹底することこそが、SNSにおいて最も健康的で、長く続く「親近感」を生み出す極意です。